『ザ・ワンズ・フー・リブ』シーズン1の第5話の「どちらの私」レビューです。
今回は内容たっぷりでかなりおもしろいエピソードでした。サプライズ登場したのが予想外の人物で、しかも冒頭から出てくるとは驚き!
ジェイディス、いや、アンに焦点を当てた物語で、これはもう一度見返したいと思えるような内容でした。
展開が大きく動いた5話は必見です!
第5話のレビュー
第5話「どちらの私」は、これまでのエピソードのなかで一番おもしろかったです。
逃げるリックとミショーンに焦点が当たるかと思いきや、今回はジェイディスに焦点を当てた物語でした。彼女に関連してまさかゲイブリエルが登場してくるとは驚きで、しかも冒頭からの登場にはさらにビックリ。
ゲイブリエルとのフラッシュバックが描かれ、ジェイディスとアンの2つの人生の狭間で葛藤する彼女の様子、そして彼女の最期も感慨深いものがありましたね。
サプライズ出演はゲイブリエルだった
冒頭からのゲイブリエルの登場には驚きました。
本作が配信される前から、実は『ウォーキング・デッド』シリーズからもう一人サプライズで誰かが登場することが告知されていました。多くの人はモーガンやヒースの名前を挙げていましたが、まさかの予想外、ゲイブリエルでした。これはさすがに予想できなかった・・・。
いま振り返れば、確かにジェイディスが出るなら可能性は十分考えられましたが、そこまで考えが及びませんでした。まだまだですね(笑)
彼は年に一度、ジェイディスと密かに森で会っていました。
彼女はリックを連れて市民共同体に行く前、ゲイブリエルと交際していました。しかも彼女はCRMでもゲイブリエル・ストークスと名乗っており、ゲイブリエルの苗字を名乗っています。つまりゲイブリエルのことを想い続けており、だから人生を変えたくてCRMに行ったにもかかわらず、年に1度は密かに会っていたのです。
ジェイディスは新たな場所での暮らしを教えることなく、しかし、苦悩していることをゲイブリエルに伝え、彼も神父として相談相手のような立場で話を聞いていました。
ジェイディスはアレクサンドリアの状況をゲイブリエルから聞いており、みんなが飢餓で苦しんでいることも知っていました。ゲイブリエルから食料を提供してほしいと頼まれても、彼女は「ここに私はいない」として頑なに拒んでいました。それはCRMに知られたら色々まずいからですね。
まず彼女の存在がバレてしまうこと。これが一番大きく、彼女は新たな地で新たな人生をやり直しており、しかもCRMでは准尉にまで昇進しています。エシュロンも知っており、彼女は本気でCRMの一員として世界を救おうとしていたのです。それは彼女の最期、「CRMを止めないように」と言ったことからも、それが本気であったことは間違いありません。CRMが世界を救うと信じており、それはエシュロンを知っているからこその発言なわけですが、一体エシュロンの中身とは!?余計に気になりますね。
そしてCRMにアレクサンドリアの存在が知れると、みんなは市民共同体へ連行されてしまいます。「B」に選ばれればいいですが、全員が「B」はあり得ませんから、「A」として殺される人も出てくるわけです。ジェイディスは市民共同体に暮らす人々と同じように、アレクサンドリアに暮らす人々のことも実は気にかけており、失いたくないのです。
彼女はずっと葛藤していました。そして彼女は自分の弱点がゲイブリエルであることも知っています。だから1年前に彼を銃で殺そうとしますが、結局愛する人を殺せるはずもない…。このシーン、彼女がアンであることがわかったシーンです。
そして現在、同じ日の同じ場所でジェイディスを待つゲイブリエルですが、彼女は死んでしまったため、待っても待っても来ません…。いずれリックやミショーンが戻ったときに彼はジェイディスの真相を知ることになるでしょう。その時のゲイブリエルの反応はとても気になりますし、その時にはじめてジェイディスとゲイブリエルの物語は完結すると思います。
ジェイディス(アン)の最期
車で逃げたリックとミショーンは、一夜を明かすために納屋に入ります。ベッドで愛し合って一晩過ごすわけですが、朝起きてみると、なんとジェイディスが立っているという予期せぬサプライズが!
やはりジェイディスは2人が乗ったヘリが墜落したことを”おかしい”と思い、すぐにチームを派遣し、上空から黄色い車を見つけ、二人が残した残骸を手がかりに一人であとを追ってきたのです。もちろん彼女はリックたちと「私的」な会話をするために、あえて一人で来たわけですが・・・。
ジェイディスが恐れてるのは、自身の正体がバレること。だからリックたちにCRMに戻るよう説得。無理だとわかり殺そうとしますが、隙を突いて二人は危機一髪の状況を脱し、逆に彼女を負傷させることに成功。そこから、逃げるジェイディスとのカーチェイスが始まるわけですが、てっきり彼女が逃げるリックたちを追いかけるのかと思っていましたが、逆に逃げる彼女をリックたちが追っていたのですね。完全に逆でした。
その後は小さな博物館に入ります。
ミショーンはジェイディスを殺す気ですが、リックは違います。それはアレクサンドリアの場所などが書かれたファイルがあるからです。もし彼女を殺したら、それがCRMに知れて仲間が殺されてしまう…。
ミショーンも「今ならわかる」と言い、このままアレクサンドリアに戻っても物事が解決しないことを理解したようです。そして3人は取引することに。リックはCRMに残り、ミショーンは見逃しアレクサンドリアに戻す、そしてアレクサンドリアの存在は引き続き秘密にする…。
取引したのも束の間、ジェイディスはさっそく裏切ることに。銃は捨てたはずが、もう一丁持っていました。しかしミショーンも銃を持って現れジェイディスに向けます。やり取りしていると、ジェイディスは背後からウォーカーに襲われ、ミショーンが銃でウォーカーを始末していくも、なんと首を噛まれてしまうのです。
そこからジェイディスの最期。彼女は告白します。自分は「失うことに疲れていた」と。「生存」することが大事だったジェイディスの人生と、「真実」が大事だったアンの人生の狭間を行ったり来たりしてきた…。そして彼女は近くに「アン」と描かれた絵を思い浮かべて「芸術家として死にたかった」と話すのです。
彼女はついに仕込んだファイルがカスカディア基地の自分の部屋にあるとリックに伝え、破棄するよう言います。しかしCRMは世界を救うから、彼らを止めないようにとも付け加えるのです。ミショーンは「いや、止める」と言い、彼らのやっていることは間違っており、もし街がCRMの真相を知ったら支持しないと。ジェイディスは反対することもなく、すでに役割を果たした感じでホッとしていました。
最後、彼女はゲイブリエルから受け取った、リックにあげるはずだった指輪をリックに渡し、プロポーズを実現させるよう言います。そして自分を殺すよう言い、リックは銃で頭部を撃ち抜いて殺すのです。
このジェイディスの最期の一連の出来事はとてもエモーショナルでした。人生を変えてジェイディスとして生きていこうとしたものの、芸術家アンとしての人生との狭間で葛藤していたのです。CRMの大義には賛成しているものの、計画に疑問が生まれ、大切な人を失うことに疲れていたのです。
この場面はジェイディス演じるポリアナ・マッキントッシの演技も大変素晴らしいものでした。
彼女は3作品の登場している唯一のキャラクターです。本家『ウォーキング・デッド』、『ワールド・ビヨンド』、そして本作。まさか出てきた頃はここまで長きに渡って登場するとは思いませんでしたし、重要な人物になるとも予想しませんでした。
そして過去の映像、ジェイディスが「失うのに疲れた」という場面で流れた映像で印象的だったのが、『ワールド・ビヨンド』で出てきた、同僚で仲間だったハックを殺したシーン。まさか『ワールド・ビヨンド』の映像がここで使われるとは思いませんでした。あれも個人的にはとても残念で泣ける場面でしたね。
もし『ワールド・ビヨンド』を見ていない、もしくはつまらなくて途中で見るのをやめてしまった人は、ぜひこの機会に見てみてください。あと1話で本作は終わりますし、次の『ダリル・ディクソン』シーズン2が公開されるまで時間がありますから、つまらなくてもぜひ見てみましょう。
『ワールド・ビヨンド』はAmazonプライム・ビデオでシーズン1と2が字幕&吹替で独占配信されています。
新たなウォーカー出現
本作でもこれまで見ることのなかった新たなウォーカーが登場しています。
今回は頭部がカチカチになってしまって、なかなかブッ刺して殺せないウォーカーです。
どうやら噴気孔から火山ガスが噴出しているせいで顔が石灰化してしまうらしく、そのせいで頭部がカチカチになってしまうらしい。今回もとてもユニークなウォーカーを出してきたなぁと、その発想とビジュアル面であっぱれ!
このように環境によって異なるウォーカーが出てくるのはおもしろいです。これまでも頭部に被りものをしたウォーカーが出てきたり、血液が酸性で触れると火傷してしまうウォーカーがいたり。一体この先ではどんな新たなウォーカーが出てくるのか個人的には楽しみです。
終末期には人間は自己中になる
今回も新たなサバイバー3人組が登場。
以前にもありましたが、森などでウォーカーに襲われている奴らは食料や物資狙いの奴が多いですね。弱くて襲われているフリをして…というのが本当に多い。そんな奴らに慣れっこなリックとミショーンは、相手にチャンスを与えるものの拒否されたので即座に反撃。あっという間の形勢逆転でした(笑)
もう10年くらい外の世界で暮らしているはずなのになぜ毎回弱いのか?
しかしこのような終末期になってしまうと、人が互いに信用できなくなってしまうんですね。みんな自分の命優先なので、人から奪うのが当たり前だし、奪われないように自衛しなければならない。そうしないと生きていかれないし、そうやってきたからこそ生きてこれたのが今回現れた3人組です。
これはアメリカ社会を反映しているかもしれません。アメリカの現実社会でも何かあるとすぐに略奪が横行するわけですが、まさにあれがそうです。いざという時には他者を尊重することなく、自分第一で行動してしまう。果たして終末期の日本では同じことが起こるのでしょうか?違った風景にもなりそうで少し興味がありますね。
最後に少しラブストーリー
最後にはしっかりリックとミショーンのラブストーリーも描かれていました。
リックはジェイディスから受け取った、本来、橋の上でプロポーズして渡すはずだった指輪を、森のなかで片膝をついてミショーンに渡します。もちろんミショーンも断るわけもなく「ずっとあなたのもの」と返答。森のなかで全然雰囲気ありませんが、ようやく正式にプロポーズできてリックもホッとしたと思います。
改めて本作はリックとミショーンのラブストーリーというのは正しいですね。何年間も会っていなかったぶんスキンシップも多くベッドシーンも多い。
そういえば、今回のエピソードで2人がベッドで寝ていて、翌朝ジェイディスに叩き起こされるシーン。寝たままの格好で起こされ、あまりに無防備なミショーンの姿には少し笑ってしまいました。
続編が制作される可能性大
次回の第6話で終わりですが、残り1話まできても全然完結しそうにありません。
ビール少将についてまったく描かれていませんし、エシュロンの中身も触れられていません。とてもじゃないけど、リックとミショーンがこのままCRMから逃げて仲間のもとへ戻れるとも思えません。つまりあと1話で物事がすべて解決する展望がまったく見えないのです。
さまざまな要素が描ききれていないため、このまま完結するはずもなく、これはほぼ間違いなく続編が制作されるはずです。それは映画なのかドラマなのかわかりませんが、個人的にはドラマでシーズン2が制作されると予想します。
本作は続編シーズン2の制作に関して正式に発表されていません。まだ可能性に言及している程度です。そして総合製作指揮者は、将来的に複数のスピンオフ作品による壮大なクロスオーバーの可能性を示唆しています。つまり、将来、リックやミショーンがダリルらと再会する可能性もゼロではなく、そのためにはリックたちの物語をもっと先に進めないといけません。よって、これは近い将来シーズン2が製作されるのではないかと個人的にはかなり期待している次第です。
次回、最終6話の予告編です↓
次回6話のレビューはこちら↓
脚本に相当優秀な人が関わっていた。柳生宗矩の「兵法家伝書」が出てきたのは驚いた。「ぼろぼろリック」の最初2話まで観るのが辛いほどだったが3話から先本来のTWDになって「ああこれからだ」と思った。そしたらバタバタ進んでラストに駆け込んだ。腕を自分で切るとかどう回収するのかと思っていたら「愛と誠実さの証明」になるのだった。
まとめ
『ザ・ワンズ・フー・リブ』シーズン1第5話のレビューでした。
ラブストーリーもありエモーショナルなシーンもありで、本作でもっともおもしろいエピソードでした。サプライズで登場したゲイブリエルとのフラッシュバックを交えた描写もよかったです。
いよいよ次回は最終話ですが、一体どんな結末を迎えるのか?
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