『ザ・ワンズ・フー・リブ』シーズン1の第6話のレビューです。
あまりに早すぎる展開、そして予想外の結末に、嬉しいと同時に複雑な気持ちもあります。「6話では短い」というのを強く感じたエピソードです。
ちなみに続編に関しては発表されていません。以前のインタビューでは、製作陣は前向きな発言をしていましたが、現段階において制作されるかどうかは不明です。
第6話のレビュー
予想外すぎる展開になった最終話。
続編に繋がるような終わり方、ほかのスピンオフ作品への繋がり、なにかサプライズ的な要素を含む終わり方を期待していましたが、それらがなくただただハッピーエンドでの終わりに、長年の『ウォーキング・デッド』ファンとしては少し物足りない気持ちです。もちろん最終的に見たかった「微笑ましい親子の再会」が見れたので、それはもうファンとしては最高の終わり方だったのは言うまでもありません。
最高な終わり方だっただけに、今回は少し否定的に感想を書いてます。
見終わった率直な感想は、「この最終話で完結させるぞ!」という製作側の強い意志が伝わってくる展開の早さと、詳細に描いてほしかったところの雑さ加減にはモヤモヤ感が残りました。とにかくかっ飛ばして、まるで映画を見ているような感覚でした。
本作はラブストーリーなので、冒頭シーンも含め「愛が勝つ」的な描写も含まれていたのが印象的です。孤独で意識が変わりそうになっていた夫リックを、愛の力で妻ミショーンが見つけ出し、彼の意識を変え、無事に家族での再会につながる…。たしかに全体的に見れば完全にラブストーリーでしたね。
ジェイディスの部屋は芸術家の部屋
ミショーンの優先任務は、ジェイディスが残したファイルを破棄すること。
兵士になりすましてジェイディスの部屋に忍び込みますが、彼女の部屋に入ってびっくり。完全に芸術家の部屋で、アートが無造作に置かれていました。きっと暇なときにでも制作していたのでしょう…。
前回のエピソードで死ぬ直前に彼女は「芸術家として死にたかった」と話していました。本来は芸術家としての人生を送りたくてずっと葛藤していたわけですが、それが今回のエピソードで裏付けられましたね。きれいな部屋であるはずが、まるでゴミ山にいた頃のような乱雑な部屋にも思えました。この部屋を見ると、確かに彼女は芸術家のほうが似合っていたと思いますし、きれいなオフィスではなく、ガラクタに囲まれたゴミ山のほうが幸せだったのではないかとさえ思います。
そしてファイル(紙)の隠し場所がまたなんとも面白い場所に。アート作品のなかに入れて簡単には取れないようにしており、このセンスも彼女が芸術家アンだった証です。
エシュロンの中身
1話目から秘密だったCRMの機密情報エシュロンの中身。
ついにリックはビール少将から聞きます。
- 人類はあと14年で滅亡するだろう
- 総勢100万体の死者の群れを見つけた
- ウォーカーだけでなく食糧不足による飢餓や疾病も原因
- 地球滅亡の可能性が高いのは、散乱した死体が腐り木々の養分になること
ビール少将は上記のことを危惧しており、これらを防ぐと言います。
そのためには以下のことが必要だし、実際すでに行動しているのです。
- 資源を奪い、優位性を保つため他のコミュニティーは破壊
- 全世界の選ばれたコミュニティーにスパイを送り込んでいる
- 最近まで科学実験用の被験体も生産していた
- オマハとキャンパス・コロニーは自分たちの仕業
- ポートランドを破壊し、18時間後に世界最高の力を手にする
- 最後の同盟都市の崩壊を、不可解で衝撃的な悲劇として街に報告
- CRMが戒厳令を敷き、街を管理し議会を廃止、国内外の競合を廃絶
このようにすれば自分たちは生き残れるかもしれないと話します。
その頃、ミショーンも兵士たち向けに開催されているCEP(児童避難手順)の説明会に出席。これから実行される同盟都市ポートランドに対する軍事計画です。そこで10%の児童を選別して空輸し、残りの住人に対してガスを撒いて全滅させるという恐ろしい計画。これを聞いて会場をあとにするミショーン。
この時、プロジェクターに表示されていた子供の写真。しっかり配慮しているなーと感じ、やたらアジア系が多かったのが印象的でした。
オカフォーもジェイディスもソーンも、このようなことに同意していたとは驚きです。ジェイディスは「CRMを止めるな」とリックたちに話して死にました。つまり今後行われるポートランドをはじめ、自分たちだけが生き残るためだけにほかのコミュニティーを絶滅させることに納得していたわけです。もしかしたらオカフォーはこういうことに疑問を持ち、CRMを変えたかったのかもしれません・・・。
CRMは世界の光と言われていましたが、ビール少将は「我々は最強の軍隊で地球を救う存在なんだ」と、ただ自分たちに酔っていたのでしょう。自分たちが生存するためなら他者を排除するし、もっと自由に行動するため、市民共同体も管理下に置いてしまうという。
恐ろしい計画がエシュロンの中身でしたが、まぁ別にわかっていたような内容ですので特別驚きはありませんでした。もっと壮大でサプライズ的な何かを期待していましたが、そこまでのものではなかったです。
呆気ないビール少将の死
まさかCRMのトップが本作で死んでしまうとは驚きで、あまりに呆気ない最期でした。
CRMって言ったら、ほかのスピンオフ作品を観ていても明らかに強い軍隊であり、そう簡単には倒せない組織です。そしてそのトップといったら明らか屈強な人物なわけで、普通そんな呆気なく死にませんよね。
ところが今回のエピソードでは、トップはすぐ死ぬし、CRMは生まれ変わるはで、物事があまりにも綺麗に進み、なんだか拍子抜けのような感じになりました。
ビール少将だって軍隊出身ですし、片手がないリックにすぐにやられるとか…。ニーガンのように、まだまだ彼の過去や人間性、カリスマ性を描けたと思いますし、それらをまだ見ていないうちに殺してしまうのは非常にもったいないなぁと。
個人的には、役を演じているのが人気海外ドラマ『LOST』でロック役を演じた俳優テリー・オクィンということで楽しみにしていたわけですが、登場機会も少なく、こんな呆気ない殺され方をされてしまったら…ちょっとこのあたりは残念でしたね。
本作では、オカフォー中佐もナットもそうですが、長く登場する素質のある人物がすぐに殺されてしまいます。全部で6話しかありませんし、この6話での完結を目指していたのでしょうから仕方ないのかもしれません。また、リックとミショーンのラブストーリーであり、この2人がなにより重要なわけですから、正直ほかの登場人物なんてどうでもいいんですよね(笑)今回のビール少将の死もそうですが、そんな印象を受けました。
家族の再会が実現した
どうやら本作は、この感動の家族の再会シーンが前提で制作されたようです。
制作陣やキャストによれば、本作は最初からここを目指しており、最初からハッピーエンディングにする予定だったそう。『ウォーキング・デッド』シリーズでありがちなバッドエンディングにする考えは当初からなかったのだとか。
本作が始まる前、ミショーンがリックを見つけ、連れ戻して子供達と再会、というのが多くの人が思い描いていた最終ゴールだったと思います。ところが前回の5話を終えた時点では、残り1話でそのゴールに辿り着くとは誰一人として思っていなかったはず。自分も「さすがに無理だろ」という考えでしたし、まさか戻ってこれるとは驚きです。もっと中途半端なところで終わって、再会シーンは続編にお預けになるかと予想していただけに、意外と簡単に再会してしまって、まぁなんとも・・・。
それにしても再会できたことは喜ばしいです。リックとジュディスは何年ぶりでしょうか?ジュディスはだいぶ成長しましたね(笑)成長期ですから身長も伸びており、少し大人びな感じで月日を感じさせます。
息子RJに関しては初めて父親と会いましたが、なんだかお互いよそよそしい感じでした。この再会シーン、なかなか楽しい撮影になったのではないでしょうか。
既定路線な終わり方
なんだか綺麗な終わり方と言いますか、既定路線な終わり方でした。
よくある独裁体制を崩して民主主義へ移行するという展開。
独裁者ビール少将は死に、CRMは市民共同体(議会)の管理下に置かれる。軍隊の目的も、ほかのコミュニティーを破壊するのではなく、生存者を受け入れ、救助活動や物資の空輸などに徹すると。
このあまりに既定路線的な終わり方には正直がっかりでした。壮大なCRMという組織、カリスマ性のありそうなビール少将、彼らが世界中で行なっていること、彼らが施設で行なっている研究などなど、もっと何かがあると想像を膨らませていただけに残念でした。
CRMとコモンウェルスとの繋がりや、それこそ『デッド・シティ』で出てくるクロアチア人らのグループとの繋がり、ダリルがいるフランスとの繋がりなど、CRMは『ウォーキング・デッド』の世界を広げていくうえで非常に重要な存在になり得たと思います。一体なぜこのような終わり方にしてしまったのか?別にハッピーエンディングで、リックが子供達と再会してもよかったですが、CRMから逃げてくるなりで、あえてCRMを潰さなくてもよかったのでは?なんて率直に思いますね。まぁもうリックやミショーンが出演しないならこの最後でも全然アリですが… もう続編はないのかな?
続編については正式に発表されていません。製作陣が前向きな発言をしていましたが、おそらくまだ計画もないと思われます。将来的には壮大なクロスオーバーという展望を製作陣が抱いていましたので、制作される可能性は十分あると思いますが、制作されるとしてもまだ数年先でしょうね。
さて、本作『ザ・ワンズ・フー・リブ』はあっという間でした。
冒頭にも書いたようにやはり6話では短すぎます。たくさんのことは描けないですし、ひとり一人の掘り下げも浅くなる。せっかくリックが戻ってきたのに、なんだかもったいない気持ちになってしまいました。
今回はラブストーリーということで、確かに所々で「愛」に関する言動が散りばめられていました。リックへの愛情から、生死が不明な夫を探しに出る、本人を見つけて愛の力で説得する、2人が力を合わせて問題を解決し帰還する。たしかに壮大なラブストーリーでしたし、ラブストーリーと考えればかなり高評価な作品であることは間違いありません。
なにより久々にリックの姿を見れてよかったのと、本作の評価を見ていると、やはり『ウォーキング・デッド』の主人公はリックでなければいけませんし、リックいての『ウォーキング・デッド』だなぁと改めて感じました。
当初は映画化の話もあり、なんだかんだありましたが、ようやくリックが復活した物語を見れてファンとして本当にありがたいですし、楽しませてもらいましたね。また続編が制作されることを強く期待したいと思いますし、リックがダリルやマギーなど、ほかの仲間と再会するシーンもぜひ見てみたいところです。
スピンオフ作品を含む『ウォーキング・デッド』シリーズの最新情報は以下の記事で随時紹介しています。
6話はいかがでしたか?自由に感想を書いてください。
脚本に相当優秀な人が関わっていた。柳生宗矩の「兵法家伝書」が出てきたのは驚いた。「ぼろぼろリック」の最初2話まで観るのが辛いほどだったが3話から先本来のTWDになって「ああこれからだ」と思った。そしたらバタバタ進んでラストに駆け込んだ。腕を自分で切るとかどう回収するのかと思っていたら「愛と誠実さの証明」になるのだった。
まだまだ続きをみたいです
驚くほど駆け足だけどリックが家族と再会するシーンを見れた事は素直に良かったですね
ウォーキングデッド視聴者なら誰もが想像したであろう部分でしょうし
細かい描写やディテールを6話しかないからすっ飛ばしてやってまえの制作陣に対して理解も出来るけど、願望としてシーズン2までもう少し見たかったですね
ただまだ発表はないにしろ、家族との再会の後はリックとミショーンがダリルとキャロル、マギーとニーガン、モーガンも?達といよいよ再会するシーンを見れるんじゃないかという期待を持てる、持ってしまう
まだまだ期待値が残ってるというのは長く続いた一ドラマとしては大成功ですね
それが実現するならウォーキングデッド・リターンズみたいなパチモンみたいだけど本物の、分かりやすいタイトルで見てみたいものですわ
まずは家族の再会。これを目指したラブストーリーであったので納得。でも‥すんなり侵入、すんなり殺され、すんなり爆破。5話までのストーリーが期待にふくらんだ長い道ならば最後はいきなり行き止まりな感じ。途中に横に逸れる道はなかったのかしら?あのでっかいヘリで帰ったのだから誰か住人は気づきやしませんか(笑)でもでもひとまずハッピーエンドで嬉しかった♪次がある事を強く強く期待して待っています♪
第6話の撮影裏写真
まとめ
『ザ・ワンズ・フー・リブ』シーズン1第6話のレビューでした。
これで本作は一応完結しました。続編が制作されるかどうかは不明ですが、これで全6話すべてが配信済みなので、一気見したい方は唯一視聴できるU-NEXT(ユーネクスト)を利用しましょう。
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